謝辞に代えて―第5回コクダイパン会議に込めた思い

 第5回コクダイパン会議に参加いただいたみなさんにおかれましては、会議の運営、進行にご協力いただきましてありがとうございました。みなさんのおかげで今回も無事成功裡に終えることができました。改めまして厚く御礼申し上げます。
 さて、ご承知のとおり、今回のコクダイパン会議は「未来のために、ともに今を考え、私たちの明日をつくりだそう」と題し、プログラムを準備しました。国立大学等の歴史や制度の変遷などの大きな枠組みの話もさることながら、日々業務に従事する私たちにとっては、「私自身」が大学職員という職業とどのように関わっていくのかがとても大切なことだと感じています。
 国立大学等が大きな変化を求められている今、各機関の構成員である私たちが、どのような思いを持ち日々の業務に従事していけばよいのか、私たちはどのような職員を目指すのか。その姿を描くためにも、現在の状況や今みなさんが考えていることを話し合い、私たちが目指すほんの少し先の未来を描き、次の一歩を踏み出すきっかけになってほしいと願い、このようなテーマを設けました。

 今回、他の職員が取り組んでいることを聞いたり、日ごろ思い描いていることを話し合ったりしたことで、参加者のみなさんそれぞれに感じることや考えることがあったと思います。コクダイパン会議はみなさんの次の行動へのきっかけ、背中を押す場にすぎません。みなさんが第5回コクダイパン会議で感じたこと、考えたことをもとに、新しい一歩を踏み出していただければ幸いです。


第5回コクダイパン会議 実行委員一同


WEB報告書について

このWEB報告書は、1日目、2日目にそれぞれ行われた、分科会I(事例紹介)及び分科会II(グループディスカッション)と、第5回コクダイパン会議を終えての課題についてまとめたものです。
その他懇親会やグッズ紹介等を含め、会議の詳細については、ホームページのNEWS(活動ニュース)の「第5回コクダイパン会議報告書(PDF)」に掲載されておりますので、是非ご覧ください。(H24.2.27現在準備中です)

また報告書に掲載しきれなかった写真等を「写真館」として公開しています。
なお、これらの写真は、コクダイパン会議当日の雰囲気をお伝えするために公開しているものであり、無断転載等は固く禁じます。御了承ください。

「写真館」はこちら



◎会議1日目(分科会I:事例紹介)
分科会Iでは、23名の報告者から各大学での個別業務の改善や業務横断型の取組等、現在取り組んでいる事例の紹介が行われました。
参加者はカテゴリー毎に50人程度に分かれ、2~3の事例発表を聞いた後、事例毎に15人程度のグループになり、ワークショップ形式で質疑応答や議論を行いました。
参加者からは、「他大学の取組や、他大学が抱えている問題点について詳しく知ることができた」「事例発表を多く聞くことができて良かった」という感想が多く挙げられ、他大学の進んだ取組を知ると同時に自分の大学の長所を発見するなど、国立大学の「今」を共有することができたのではないでしょうか。
その一方で、「議論する時間が足りなかった」という声も多く、より議論を深めたいという参加者の意欲を感じられるとともに、今後の運営に課題を残した結果となりました。

※分科会I:事例紹介の詳細はこちら

タイムスケジュール
第1ブロック(14:30~15:45)
…カテゴリ:「SD・自己研鑽」「国際化」「業務改善・効率化」「広報活動」

第2ブロック(16:05~17:20)
…カテゴリ:「総務企画系」「人事系」「会計系」「学生系」



◎会議2日目(分科会II:グループディスカッション)
分科会IIでは、「10年後のキーパーソン像」をテーマにグループワークを行いました。
10名程度の年代が近い参加者で構成されたグループで議論を行い、途中で年代が異なるグループとメンバーを交代して議論し、最後にグループごとの「10年後のキーパーソン像」を全参加者の前で発表しました。
キーパーソン像を見ると、グループごとに個性のある議論が行われたことが伺えますが、どのグループでも、年代が近い参加者同士では課題意識を共有し、また異なった年代のメンバーを交えた議論では多くの気づきが得られたようです。
各タームの時間が足りないと言った嬉しい悲鳴も聞こえ、アンケートでも、メンバーの年代が近く議論がしやすかった、途中でメンバーを入れ替えたことで議論が活発になったという好意的な意見が多く見られました。

※分科会II:グループディスカッション(キーパーソン像)の詳細はこちら

タイムスケジュール
分科会II(9:50~13:30)
(第1ターム) 9:50~11:30(100分)
(第2ターム) 11:40~12:20( 40分)
(第3ターム) 12:30~13:30( 60分)



第5回コクダイパン会議を終えての総括

ここでは、第5回コクダイパン会議の開催を通して見えてきた今後の課題について取り上げます。

1.「自発的に集い議論する場」であり続けるために
第5回目を迎えたコクダイパン会議も、無事にその開催を終えることができました。
改めて振り返ると、回を経るごとに新たな実行委員や参加者による新たなコクダイパン会議の様相が表れています。今回も、第1回から連続して参加している人は全体の4%である一方、初参加者は全体の4分の3に達するなど、参加者の構成は大きく変化し、会議に新たな風が吹き込まれました。

そしてそれは、コクダイパン会議の中だけではなく、「外側」についても同様です。
会議立ち上げの頃に比べ、各地で勉強会やSDの取り組みが活発に行われるようになりました。その内容も、大学のマネジメントやガバナンス等についてのフォーラムやディスカッション、また大学院での学びなど広範囲にわたり、関わる機関も、個別の大学単位だけでなく、地域単位、あるいは本会議のように全国の大学を単位としたものまで、質、量ともに、その高まりは顕著なものです。
また、それを支援する機関側の体制も整いつつあり、旅費等の経済的な支援だけでなく、周りの職員の理解や協力など、環境面での支援を行っていこうという動きも確立されつつあります。
実際に、今回の会議の参加に際して、機関から何らかの支援があった人は全体の半数を超えており、それは、一般職員(パン)が学び考えることが「仕事」の一部であると、機関から捉えられていることの表れともいえます。

そのような状況を踏まえつつ、改めてこのコクダイパン会議が、『「個人」が「自発的に」集い議論する場であること』について考える時期に来ていると感じています。特に今回の会議の参加申込受付において、参加人数に上限を設けたこともあったためか、機関からの問い合わせや機関内で選考したうえでの申し込みが少なからず見受けられました。本会議の認知度が向上し、各機関が人材育成に有効な手段の一つとして、本会議を位置付けてくださることを嬉しく思っているところですが、同時に、例えば過去に参加したことのない者を優先して支援する等、機関が先導することによって「個人」の「自発的」な参加が制御されていないか、あるいは機関による先導があってこそ「個人」の「自発的」な参加が促進されるのか等について、一旦考える必要があるのではないかと思います。
もちろん、コクダイパン会議が各機関の有形無形の支援のうえに立脚していることは言うまでもありません。これまでも、機関としての限られた資源のなかで、可能な限りの支援をいただいていることに深く感謝申し上げているところであり、また、過去の参加者にも継続して自発的に参加してもらえるよう会議の企画等に工夫を凝らさねばならないのは当然のことです。あるいは、機関の支援を動機づけとして参加した者が新たな刺激を得ていくことも、本会議が果たす重要な役割だと考えています。
そのような事実を認識しながらも、コクダイパン会議が「自発的に集い議論する場」である以上、参加までの経緯や思いは様々だとしても、参加者には、少なくとも「参加すれば何か得られるだろう」という受動的な姿勢ではなく、自分自身の考えや経験を積極的に発信し他者の考えや取組みを積極的に吸収して自らの行動に繋げていこうという姿勢を引き続き求めたいと思います。あわせて、機関におかれては、そのような積極的に発信・吸収し自学へ還元していこうというサイクルをもった職員を育み、強くするような支援を引き続きお願いしたいと思っています。
コクダイパン会議の「外側」の状況が刻々と変容している今、参加者の思いや機関の支援のありようも変容せざるをえないのかもしれませんが、本会議が「自発的に集い議論する場」であることは、今後も変容することのないようにしなければなりません。そのために、個人が、機関が、改めてコクダイパン会議について考えていただき、引き続き本会議のあり方への助言や提言、積極的な参加や支援等をいただければ幸甚です。

2.コクダイパンを魅力的な「学びの場」とするために
コクダイパン会議の目的は「キーパーソンになるべく、必要な資質を自らで考え、培い、行動するための一助とすること」と、「参加者相互のネットワーク作り」にあり、それらの目的を果たす機能を十分に有してきました。しかし会を重ねるごとに、「知識基盤社会を支える国立大学の運営を担うパンたちが継続的に学び続け、モチベーションを確認する場」としての機能も新たに見えてきました。すなわち、「会議に参加して得た気付きを持ち帰って実践し、それを次の会議で発表して意見をもらい、さらにモチベーションを高め、再び自学へ持ち帰り実践していく」という「学び」のサイクルの「場」としての機能です。

第5回コクダイパン会議においては、初参加者は全体の4分の3に達し、その大部分が20代の若手のパンのみなさんでした。新たな若手のパンのみなさんの参加によって、会議に必要不可欠な活力が与えられたことは確かです。しかし、新たな参加者や若い参加者に偏りすぎることは、必ずしも良い影響ばかりではありません。
例えば、会議の主要なコンテンツである事例発表において、「まずは様々な事例を知りたい」という参加者が大多数を占めたり、同年代の参加者が多くなることによって、異なった年代の意見を聞く機会が減ったりする影響は否定できません。
もちろん、参加するみなさんは、参加回数や年代の別に関わらず、高いモチベーションをもってコクダイパン会議に参加していることと思います。しかし、過去の会議に参加したパンのみなさん、あるいは中堅職員となったパンのみなさんが、新たな、若手のパンのみなさんと一同に会し、議論することは、それぞれの立ち位置を確認するうえでも充分に意味があります。また、コクダイパン会議の目的でもある、「考え、培い、行動する」ことを実践し、実践したことを自ら示していくことは、今後の職業人生においても非常に重要なことだと考えています。
その結果として、本会議が「学び」のサイクルの「場」となることができれば、これに勝ることはありません。
コクダイパン会議は若手だけの会議では断じてありません。「一般職員」という、新卒で入職した若手職員から、係長になる前の中堅職員までが対象です。そのためにも30歳以上の中堅層や既参加者の参加が増えるような企画や環境づくりを行う必要がありますし、参加者がまた参加したくなるような仕組みづくりも検討しなくてはなりません。また、会議で得られた気づきが実際にどう反映されているのかというフォローアップも行う必要があるでしょう。
全員が満足することは難しいかもしれませんが、幅広い年代の職員が、二度、三度と参加したくなるコクダイパン会議を目指して、全国のコクダイパン達が継続して学び続けることができる「場」を作り続けていくためには何が必要なのか、心地よく会議に参加できるにはどうしたらよいのか、それをまた、みなさんと考え、実行に移していきたいと思います。

3.もっと「前向き」なコクダイパン会議になるために
いまや各地で勉強会やSDの取り組みが活発に行われるようになったことはご承知のとおりですが、その活動や運営が業務として認められている例は、そう多くはありません。このコクダイパン会議も、運営に関しては業務外の活動として行われています。
コクダイパン会議に限らず、時間外に勉強会やSDの取り組みを行うことへの疑問も当然あると思います。それに対する答えの一つは、「そうした活動を行うことによって、自分の前向きな気持ちを増幅させ、自分の大学職員としての職業人生を充実させることができるから」にあると言えるのではないでしょうか。
コクダイパン会議の運営に際しても、「大変そうだ」「自分にはできないだろう」「面倒なだけだ」と思う人がいるかもしれません。しかし実際は、「やってみよう」という前向きな思いが、多くの機関や職員を巻き込み、サポーターや参加者のみなさんをはじめとした、たくさんの仲間の協力や助力を生み、自ずと成功に導かれていきました。そして、さらにはこのコクダイパン会議を開催したことをきっかけとして、東海地区では新たな活動が芽生えることにもなりました。
こうした前向きな思いが良い影響を波及的に生みだし、最終的には自身の職業人生の充実に繋がっていくと言っても過言ではありません。
確かに、コクダイパン会議を作り上げていくには業務外の活動に係る部分が大きく、それによる制約も無いわけではありません。しかし、こうした「やってみよう」という前向きな思いが最大の要素となって、このコクダイパン会議は作られています。これからも、多くのみなさんが前向きな思いをもって今後の会議を作ってみようと立ち上がることを願ってやみません。そして、これまでコクダイパン会議に参加していなかった人たちにも「参加してみよう」、「やってみよう」と思わせるコクダイパン会議となるよう、みなさんと前進していきたいと思います。

4.最後に
第5回コクダイパン会議は幕を閉じましたが、この報告書によって改めてコクダイパン会議に込められた思いを感じ取っていただき、今の国立大学や自分自身のことを考え、自分自身の明日を、自分自身でつくりだすきっかけとしていただければと思います。
そして、コクダイパン会議が、各地で行われている様々な勉強会やSDの取り組みと共存し、相互に良い影響を与えあい、ともに繁栄できるよう、さらには私たち自身が前向きな思いを持ち、職業人生を充実したものにできるよう、それぞれが踏み出した一歩の先に幸多きことを祈念して、第5回コクダイパン会議の総括といたします。

最終更新日:2012/02/27

閉じる