「コクダイパン会議」について


※このページの内容は、「コクダイパン会議報告書」(PDF)からの抜粋です。第1回・第2回コクダイパン会議についての詳細は、コクダイパン会議報告書もご覧ください。

 「コクダイパン」とは、「学」の「一職員(係長級以上を除く職員)」のことで、2007年7月15日に京都大学にて開催された「第1回国立大学一般職員会議」を親しみやすいものにしたいと思い、実行委員で考えに考えて生まれたことばです。この「第1回コクダイパン会議」は、将来の国立大学を担う私たち一般職員が自発的に集い、国立大学の将来像やそれを実現するために乗り越えなければならない多様な課題について、ともに議論し、意見を出し合うことにより、将来像を実現するための具体的方策や行動計画の作成・提言にまで繋げていくことを目的として開催しました。また、参加者相互の協力や意見・情報交換のためのネットワークを作り、これを広げていくことにより、「一般職員」である私たち一人ひとりが将来の国立大学の「キーパーソン」となるべく、自らで必要な資質を考え、培い、行動していくための一助とすることも目的としています。


 平成 19 年 2 月 5 日。全ての始まりは、とある国立大学の若手一般職員からの呼びかけでした。
「法人化して 3 年が経とうというのに、大学組織は旧態依然としたままである。このまま、私たち若手職員は、安穏と過ごしていて良いのか。私たち自らの手で、全国の若手職員が集う『決起大会』を開催し、皆のモチベーション向上を図りたい。」
 この呼びかけに対し、所属大学は違っても、同じく焦燥感とも言うべき『危機感』を抱えていた全国の有志たちは、迷うことなく、すぐに「賛成!」と、呼応しました。こうして第 1 回「国立大学一般職員会議」(以下、「コクダイパン会議」)が動き出したのです。
 私たち実行委員が当時、漠然と抱えていた『危機感』。この具体的な中身について、私たちは、議論の中で認識を深めてゆきました。国立大学全体に共通する『課題』があり、法人化後も、それらが依然として「課題」のまま横たわっていること。私たち一般職員は、この変わらない状況にこそ、強い『危機感』を抱いていること。
 例えば、第 1 回コクダイパン会議に寄せられた参加申込用紙より、全国の一般職員の「生の声」を紹介します。
こうした声からは、国立大学に共通する『課題』と、全国の現場で『危機感』を募らせている一般職員の姿が見えてくるのではないでしょうか。

?「所属大学や国立大学全体の課題と思うこと」?

 一般に、国立大学では、係長級になるまでに、採用から 10~20 年という長い間を「一般職員」として過ごします。この間に高いモチベーションを持ちつつ、いかに成長していけるか――このことが、私たちが国立大学の「キーパーソン」となるために決定的に重要な意味を持つことは、想像に難くありません。しかし、その具体的な姿は曖昧としたままです。
 私たち「一般職員」にとって、あるいは、大学職員全体がそうかもしれませんが、周りには「課題」 があふれています。 誰もがその課題を認識し、 変化を志向していることは間違いありません。しかし、あまりにも課題の作る「壁」が高すぎて、どこから手を付けてよいかわからないのも事実です。 難しすぎて、 つい曖昧なまま放置する言い訳を考えたくなってしまいます。 残念ながら、言い訳をして満足している職員は少なくありません。むしろ、そうした職員の方が多いかもしれません。
困難な壁に立ち向かうことなく、「アリとキリギリス」のキリギリスのごとく高みの見物を決め込み、 ゴールが見えなくても必死に努力するアリを批判することは簡単です。 自分は汗をかかず、何が得られるかもわからないのに愚直に汗をかくアリを笑っている方がずっと楽でしょう。
 でも、それでよいのでしょうか。高みの見物だけで、自ら課題を解決することのないまま、「一般職員」としての十数年を過ごす意味はあるのでしょうか。
私たちは、高みの見物では満足できません。課題を認識したら、たとえどんなに高い壁だとわかっていても、自ら行動し、少しずつでも変化を起こしていきたいと思っています。その道のりは、決して平坦ではなく、時に厳しいものでしょう。しかし、仲間とともに歩めば、「道」を拓くフロンティアとしての喜びと楽しさを分かち合える素晴らしいものになると信じています。
そして、私たち自身の成長についても、具体的なビジョンが描けないまま「手遅れ」とならないうちに、まずは当事者として、「一般職員」である私たち自身からこの問題に取り組んでいきたい。すなわち、私たちのような「一般職員」は実際には大学の意思決定等に関与しにくいけれど、いかに大学全体のあり方を考えつつ日々の業務に取り組んでいけるか。また、将来へ向けていかに成長していけるか。これらについて私たち自身で議論していくことの必要性を認識し、そのフォーラムを自ら形成したい。そして、係長級以上のみなさんにも、それぞれの立場から国立大学の将来に向かって取り組んでいただけるよう、働きかけていきたい。このような思いで、「第 1 回コクダイパン会議」は、誕生したのです。
コクダイパン会議では、将来の国立大学を担う私たち一般職員が自発的に集い、国立大学の将来像やそれを実現するために乗り越えなければならない多様な課題について、ともに議論し、意見を出し合うことにより、将来像を実現するための具体的方策や行動計画の作成・提言にまで繋げていくことを目的としています。また、会議を通じ、参加者相互の協力や意見・情報交換のためのネットワークを作り、これを広げていくことにより、「一般職員」である私たち一人ひとりが将来の国立大学の「キーパーソン」となるべく、自らで必要な資質を考え、培い、行動していくための一助とすることがもう一つの目的です。
これらの目的を掲げ、平成 19 年 7 月 15 日、「第1 回コクダイパン会議」を、京都大学の時計台記念館にて開催しました。当日はあいにくの台風接近にもかかわらず、北は秋田、南は沖縄から25 大学の 72 名もの参加者が集結。歴史の扉はついに開いたのです。
そして、2008年。さらに次の一歩へと向かって、第 2 回会議が動き始めました。
第 1 回会議のアンケート結果等を参考に、第 2 回からの新たなメンバーも迎えた上で、第 2 回実行委員会を結成。分科会の内容・構成について工夫を凝らすなど、第 1 回を基礎にしつつも、つねに前進を目指して企画が練られました。
 「第 2 回コクダイパン会議」は、東京大学を会場として 8 月 2~3 日に開催。北海道から沖縄まで、全国から 123 名もの参加があり、大成功のうちに幕を閉じたと言ってよいと思います。第 1 回のみの単発で終わらず、第 2 回を実施し、しかも文字通り全国から多数の参加を得たことで、まだまだ不十分ながらも着実な前進を見ることが出来たと思います。


参加者の皆さんから、所属大学で「コクダイパン会議」の報告会を行ったり、大学の枠を超えたプロジェクトに参画することになったなどの報告があり、少しずつですが、「コクダイパン会議」で確認した共通の「思い」が、それぞれの場所で確実に芽吹いていることを感じています。また、地区別での交流会・勉強会や、コクダイパンML(メーリングリスト)も立ち上がっています。このフォーラムがますます活性化し、近い将来、国立大学の将来像を実現するための具体的方策や行動計画の作成・提言にまで繋がっていくとよいと考えています。そして、私たちが「コクダイパン」を卒業する日まで、この会議を「定点」として、それぞれの成長を確認し、また同時に、「コクダイパン」も成長していける、そのような存在であることが理想であると思っています。

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